姫路市役所が夏季のエアコン設定温度を従来の28度から25度に引き下げる全国初の取り組みを実施し、職員の業務効率向上と残業代約4,000万円削減という驚きの結果を達成しました。2019年の実証実験から始まり2021年まで3年間継続した本取り組みは、「エアコンを我慢するよりも快適な環境で働く方が経済合理性が高い」という逆転の発想で注目を集めました。
なぜエアコン温度を25度にしたのか?

以下の動画は、取り組み当初にサンテレビが姫路市役所を取材した映像です。
医師でもある清元秀泰市長が実施した背景には、大阪市立大学大学院の梶本修身特任教授の提言があります。
平均室温が25度から28度に上がると、クールビズ期間を通して1m²あたり72円の節電になるが、作業効率の低下で29分残業が増えて経済的な損失も出る。快適な室温制御をすることで、労働者の健康・仕事効率が向上し、残業の削減などの経済効果が得られるかを科学的に検証するべきだ。
庁舎室温3度下げ、25度に 姫路市「仕事効率上がる」-朝日新聞
実証実験は2019年7月16日〜8月30日に姫路市役所本庁舎の執務室で行われました。主な理由は以下の2点です。
- 室温が25度から28度に上がると作業効率が6%低下するという専門家の研究
- 省エネに逆行するのではなく、科学的根拠をもとに「働き方改革」をポジティブに推進するため
姫路市役所がエアコン25度にした結果

| 指標 | 結果 |
|---|---|
| 光熱費 | 約7万円増(微増) |
| 残業代(人件費換算) | 約4,000万円削減 |
| 月の残業時間 | 21.6時間 → 18.7時間(約14%減・約3時間減) |
| 業務効率が向上したと感じた職員 | 85% |
| 疲労感が軽減されたと感じた職員 | 83% |
電気代が7万円増えた一方で、残業代が約4,000万円も削減されたという圧倒的な費用対効果です。その後も2019〜2021年の3年間にわたって実施された結果、2018年同期間と比較して電気・ガスの使用量に顕著な増加は認められなかったとの報告もあります。
清元秀泰市長は「企業でも経済効率を上げられるのではないか」と話し、取り組みの広がりに期待した。来年は公民館や図書館などの公共施設での検証も検討する。
そもそも「エアコン28度」はなぜ推奨されていたのか?

「冷房は28度」という常識は、2005年開始のクールビズ運動で冷房時の室温目安として設定されたものです。しかし当時の担当者がハフポストの取材に対して驚きの発言をしています。
科学的知見をもって28度に決めたのではない。何となく28度という目安でスタートし、それが独り歩きしたのが正直なところだ。(略)労働安全衛生法の事業所衛生規則で定められている事業所の室温の上限が28度だったので、目安として設定した。
つまり28度は「推奨温度」ではなく「上限温度」だったわけです。今回の姫路市の取り組みが示したのは、「28度に設定することで得られる光熱費削減効果」よりも「25度に設定することで得られる業務効率アップ効果」の方がはるかに大きいという経済的な事実です。
無闇な節約・制限より、人の健康・効率・快適性も考慮したバランスある環境整備が重要です。公的機関がこのような科学的根拠に基づいた取り組みを先行して実施することで、民間企業への普及が期待できますね。

姫路市に訪れた際は、好古園での日本庭園散策や書写山圓教寺の歴史探訪もおすすめです。お子さん連れなら姫路セントラルパークや太陽公園も楽しめます。宿泊はホテル日航姫路やホテルモントレ姫路が便利ですよ。

